アメリカン・スピリットの象徴
〜ステットソン・ハット〜
こんにちは。
10月に入り、すっかり秋らしい気候になってきました。
ここからは、ひと雨ごとに季節が進みますね。
もうすぐ冬です。
さて、今回は「一生モノのヘッド・ウェア」をやります。
夏に「ココナッツ・ストローハット」を紹介して以来なので、
かなり久しぶりですね。
僕が日常愛用しているハットは、
「STETSON(ステットソン)」のフェドーラです。
先に紹介しておきます。
【Brooks Brothers のSTETSON社製フェドーラ】
【素材は、ラビット・ファー・フェルト】
「フェドーラ(Fedora)」というのは、「中折れ帽」を指す米語で、
フランスの劇作家V.サルドウの戯曲「フェドーラ」」(1882年)がその名前の由来といわれています。
【1】19世紀のアメリカとSTETSON
STETSONの創業者である、ジョン・バタソン・ステットソンは、
1830年、東部のニュージャージー州オレンジの生まれです。
父のスティーブンは、この頃すでに「ノー・ネーム・ハット・カンパニー」という会社を設立しており、帽子ビジネスで成功していました。
【ノー・ネーム・ハット・カンパニー】
スティーブンの7男として生まれたジョンは、体が弱かった為、
健康を回復するため西部へと旅立ち、パイクス・ピーク登山探検隊に加わります。
そこで隊員たちは、寒さと雨風を凌ぐために、動物の皮で作った帽子を被っていましたが、
鞣し(なめし)加工を行なっていない原皮だった為、すぐに腐敗してしまいました。
その後、見事パイクス・ピーク登頂に成功したジョンは、
1865年に、そこでの経験と家業を活かし、西部への帽子販売を始めることを決意しました。
そしてこの時立ち上げたのが、「STETSON」です。
ちなみに、この頃のアメリカというのは、
国が一気に開拓・形成されていった、正に激動の時代で、
1.西部開拓時代【Wild West】(1860年〜1890年)
の始まりの時期であると同時に、
2.南北戦争 (1861年〜1865年)
の真っ只中でもありました。
このような時代に、ステットソンは創業したのです。
そして1869年、ひとつの帽子を発表します。
「ボス・オブ・ザ・プレインズ(平原の大将)」
この帽子が、
その後「アメリカのシンボル」と呼ばれるようになる「STETSON」の名を、世に知らしめることになります。
「ボス・オブ・ザ・プレインズ」は、
ジョンがたまたま出会ったカウ・ボーイに依頼されて作った帽子を再現したモノで、
これが爆発的な人気を博し、その後アメリカ中のカウ・ボーイ達がこぞってこれを被ったことで、
「STETSON」の知名度は瞬く間に広がっていきました。
ジョンはその後1870年にこの帽子を、
「ステットソン・ハット」として商標登録しています。
こうして、ジョン・B・ステットソンによって世に生み出された、
「ステットソン・ハット」こそ、
現在「ウェスタン・ハット」「テンガロン・ハット」「カウボーイ・ハット」
と呼ばれ、世界中で親しまれている帽子の原型なのです。
【2】アメリカン・スピリットの象徴
現代でも、
アメリカ人の「服装」によるアイデンティティ(=自分らしさ)は、
「カウボーイ・スタイル」です。
それを象徴するように、歴代アメリカ大統領の多くが、
西部を訪れる際、ステットソン・ハットを被って登場しています。
【リンドン・ジョンソン大統領】
【ロナルド・レーガン大統領】
【ジョージ・W・ブッシュ大統領】
【クリントン大統領】
このように、彼らがカウボーイ・スタイルを身に纏うという事は、
「自分はアメリカ人そのものである」
という事を示唆しているのであり、
それは同時に、
アメリカという国家の「力強さ」
を誇示しているという事になるのです。
「ステットソン・ハット」は、
〝アメリカン・スピリットの象徴〟
として今も尚、堂々たる姿で存在し続けています。
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