LEVI’S 701物語〜女性とジーンズ LADY LEVI’S 〜
こんにちは。
ふと思えば…以前の記事で、「これからジーンズの記事を連載していきます。」と言ったっきり、忘れていました(笑)
と言うことで、久しぶりの〝一生モノのジーンズ〟をやります。
前回は、永遠の定番である「LEVI’S 501」の話をしましたね。今回は、「女性のジーンズ」についてお話ししようと思っています。
ジーンズと言うと「ゴールドラッシュ」だったり、「カウボーイ」が出てきたりと、歴史上語られる話の多くは、男性メインのモノです。
では、女性用のジーンズは存在しなかったのか?と言うと、そんなことはありません。戦前から少ないながらも存在していたのですが、あまり知られていないだけなのです。
【1】女性の着衣
服飾の永い歴史の中で、女性がパンツ形式の脚衣を履くことは、本当につい最近までタブーとされてきました。
20世紀初頭まで、女性は「コルセット」を巻き、ドレスを着ることが主流だったのです。
女性の服装をもっと動きやすいものにしようと、1850年代に「女性の服飾面での自由化」を訴えたのは、アメリア・ジェンクス・ブルーマーです。
ブルーマーは丈が膝下まであるズボンと、ショートドレスの組み合わせを支持し、世に広めようとしました。しかしそれは、当時としてはそれほど普及せず、ほとんど涙ぐましい努力に終わってしまったようです。
ただ、この「ブルーマー」は20世紀中頃には「ニッカポッカーズ」のような形に改良され、女性用の運動着として広く普及していきます。
これが今日、「ブルマ」として私たちにも広く知られているモノの原型です。
【2】女性とジーンズ
ブルージーンズも最初は男性の労働着であって、女性が身につけるものではありませんでした。
女性用ジーンズ誕生の大きな契機となったのが、世界恐慌を発端にアメリカ西部で沸き起こった、「デュード・ランチ ブーム」でした。
「デュード・ランチ(DUDE RANCH)」とは、〝牧場観光〟のことで、ゆとりのある東部の富裕層に、休暇を牧場でゆったり過ごしてもらおうと、当時の牧場主がこぞって企画しました。
デュード・ランチに来る観光客は、映画やポスターなどで目にしていた、ジーンズを穿いたカウボーイ達への憧れや、西部開拓者の精神に対する尊敬の念を抱いており、自分たちも観光期間中は、ジーンズを穿いて過ごしていました。
そこに目をつけたのは、ここでもやはり「リーバイス」でした。
1938年、女性向けの「デュード・ランチ用アイテム」として、一本のジーンズを生み出します。〝LADY LEVI’S (レディ・リーバイス) 〟世に言う「LEVI’S 701」です。
これが、世界初の女性用ジーンズでした。
【3】LADY LEVI’S(レディ・リーバイス)〜LEVI’S 701〜
それではここで、僕の〝一生モノのジーンズ〟コレクションの中から、その〝世界初の女性用ジーンズ〟をご紹介しましょう。
この品番はあまり有名ではないので、当時のものを所有している人が本当に少ないです。中々オリジナルを見ることができないと思うので、貴重ですよ。
【LADY LEVI’S 〜LEVI’S 701〜】
僕が所有している〝701〟は、ジッパーの種類などから推測すると、おそらく1950年代前半のモノです。
ちなみに、ジッパーは1950年代前半までによく使われていた「CONMER(コンマー)」です。
オレンジとイエローの2色の糸を使ったステッチも、この時代あたりまでの特徴のひとつですね。
ちょっと見にくいのですが、下の写真で言うと、ウエストのバックヨーク部分と、そこからヒップに繋がっていく部分はオレンジ色の糸を使っています。
ポケットまわりや、アーキュエイトステッチには黄色の糸が使われています。
この「LEVI’S 701」は主に以下の3つの特徴を備えます。
- 際立ったハイウエスト
- 幅広のストレートレッグ
- ピンク・セルヴィッジ
上の写真の通り、この〝701〟はとにかく股上が深いのが特徴です。そして幅広のストレートレッグですので、穿いた時のシルエットはバギー・パンツに似ています。
そして、この「701」には〝ピンク・セルヴィッジ〟が使われていることも大きな特徴です。
【LEVI’S 701に見られる ピンク・セルヴィッジ】
【LEVI’S 501XXなどに見られるレッド・セルヴィッジ】
上の写真の通り、501XXなどにつく〝レッド・セルヴィッジ〟と比べると色の違いがわかりやすいですね。女性用ということで、少し工夫を凝らしたのでしょうか。なんとも粋な演出です。
とはいえ、戦前〜戦後まもなくの頃のジーンズというのは、ファッションとは無縁の「単なる労働着」であることに、なんら変わりありませんでした。
男性のジーンズでさえそうだったのだから、女性のジーンズにおいては、より一層その気分が高かったわけです。
しかし…1950年代に入り、その女性達の気分を一気に打ち消し、労働着でしかなかったジーンズを、お洒落着のジーンズに価値転換した人物が現れました。
それがかの、マリリンモンローです。
【4】マリリンモンローが愛したジーンズ
1954年『帰らざる河』で酒場の歌手という役柄で、マリリンモンローはジーンズを穿いて登場します。
上述したように、女性がジーンズを身につけること自体に抵抗感があった1950年代という時期において、スクリーンの中のモンローが人々に与えた衝撃は凄まじいものでした。そしてその姿は完璧だったのです。
男性は、「ジーンズを穿いてもなおセクシーである」モンローに釘付けになり、女性は女性で、「ジーンズも悪くない」と思ったことでしょう。
そしてその翌年の1955年に、『理由なき反抗』の劇中でジェイムス・ディーンがジーンズを穿いたことでジーンズの歴史は完全に変わりました。
こうしてジーンズは現在のように、老若男女問わず、誰もが気軽に身につけることが出来る存在になっていったのです。
ちなみに、マリリンモンローは私生活でもこの「LEVI’S 701」を愛用していたと言われています。
このことから現在「LEVI’S 701」は、通称〝モンロー・デニム〟とも呼ばれています。
【追記】
LEVI’S 701が復刻されました。ぜひ公式サイトから一度御覧ください。
→【LEVI’S 公式通販はこちら】LEVI’S(R) VINTAGE CLOTHING
1950モデル/701/リジッド/セルビッジ/12.3oz
【参考文献】
コメント
701とアナトミカのマリリンはいつかできる彼女に履かせたいデニムNo. 1です。これ履いてる女の子のお尻が本当に素敵です。
お久しぶりです。
それ、わかります!!
今回アップした701も妻が穿いております(笑)
これ穿いてる女の子、僕も昔から好きです。
でも、去年くらいにLVCで復刻されましたよね?
復刻は知らなかったです。
けど古着の生地の雰囲気がいいっすよね。
確か復刻されたはずですよ
今も、リーバイスストア行ったらあるはずですよ
昔の生地の雰囲気は、やっぱり再現出来ないですよね