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グルカ・ショーツ 〜勇猛果敢 グルカ兵の象徴〜

 

グルカショーツ

〜勇猛果敢 グルカ兵の象徴〜

 

こんにちは。

続けてやります。〝一生モノのショーツ〟です。

前回の記事で、「ショーツ(ショートパンツ)とひとことで言っても、様々な種類があって非常に奥深い」という事を強調し、代表的なものとして、「バーミューダ・ショーツ」を紹介ました。

 

今回は、「グルカショーツ」です。

 

しかし、この「グルカショーツ」を紹介する前に、まずは歴史に埋もれている「コロニアル・ショーツ(植民地用半ズボン)」について、掘り返して理解しておかなければなりません。

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【1】英国植民地政策の中の「コロニアル・ショーツ(植民地用半ズボン)」

ご存知の通り英国は、1600年代後半から1800年代にかけて、オランダ・フランスと利権を争う形で、広範囲の植民地政策を進めていきます。

北米、アフリカとの三角貿易、インドを支配し、そこを拠点に清国にまで攻め込み、分割統治しました(アヘン戦争)

 

そのスピードは、本当に恐るべきものでした。

このような「列強支配と搾取」という、悲しい歴史の中で生まれたのが「コロニアル・ショーツ」です。

 

「コロニアル・ショーツ(植民地用半ズボン)」とは、英国植民地軍が駐屯地で着用した半ズボンの俗称です。

正式名称は「イングリッシュ・アーミー・コロニアル・ショーツ」と言います。主に、アフリカやインドなどの熱帯地方で穿かれました。

 

その起源は、1857年の「インド大反乱(セポイの反乱)」の時に、当時の英国インド軍の特殊部隊が履いていた「カーキ色の半ズボン」だと言われています。

 

この時の英国インド軍の特殊部隊こそ、「グルカ兵」として知られる「グルカ・レジメンツ(Gruka regiments)」です。

【2】グルカ兵(Gruka regiments)

グルカ兵の「グルカ」とはそもそもネパール地方に住む、複数の好戦的な山岳部族を指す俗称で、

「グルカ」という呼び方自体は、古くからネパールの一王国として存在していた、「ゴルカ王朝」から取られたものです。

 

「グルカ兵」とは、その複数の山岳部族を中心に構成された、特殊部隊のことです。

 

グルカ兵

 

山岳戦・白兵戦を得意とし、とにかく勇猛果敢で戦闘能力が高い集団と言われ、

19世紀2度にわたり行われた、ネパールと英国東インド会社軍との戦争、いわゆる「グルカ戦争」で勝利した英国は、停戦条約締結の際に、グルカ兵を傭兵として「英国インド軍」に従軍させる事をネパール側に要求しました。

 

当時の英国にとって「グルカ兵」は、それほどまでに敵に回したくない存在だったということが伝わってきますね。

この「グルカ兵」がその後の「インド大反乱(セポイの反乱)」鎮圧に大きく貢献することになるのです。

 

ちなみに、現代の英国陸軍にも、このグルカ兵から成る「グルカ旅団」があり、1982年のフォークランド紛争など英国が関わる紛争の「先鋒部隊」として派遣されています。

【3】グルカショーツ

そんな彼等「グルカ兵」が、ユニフォームとして着用していた「カーキ色の半ズボン」こそが「グルカショーツ」です。

 

ここで、僕の〝一生モノのショーツ〟の中から、「グルカショーツ」を紹介します。

 

【グルカショーツ】

グルカショーツ

グルカショーツ

 

「グルカショーツ」の主な特徴は、

 

①幅広のウエストバンド

 

これが最大の特徴です。

 

現在の感覚では、「ただただ面倒くさいだけ」と言われてしまいそうですが…

この両サイドのウエストバンドによって、しっかりとウエストが固定されます。

 

前1ヶ所よりも、両サイドの2ヶ所で締めるほうが腰回りのホールド感がより増しますよね。

まさに、ミリタリーウェアの随所に見られる「機能美」のひとつと言えます。

 

②膝上の短丈で、ふんわりと広がったバギー調のシルエット

これも大きな特徴のひとつです。

これにより、膝周りが締め付けられず、脚が非常に動かしやすくなります。

 

③前タックがある(ないものもある)

これも可動域を少しでも確保するための仕様です。

いわゆる「アクション・プリーツ」ですね。

 

このように、グルカショーツは「動きやすさ」を最優先した仕様になっており、その独特の「機能美」が随所に散りばめられているのです。

 

そしてこれが、その後の「バーミューダ・ショーツ」や「ビルマ・ショーツ」といった、現在一般的に知られている〝レジャー用半ズボン〟のプロトタイプ(原型)になっていきました。

【4】戦争と服飾史

現在の洋服の中には、戦争と切っても切り離せないものが本当に数多く存在します。

 

今回取り上げた「グルカショーツ」の他にも、「トレンチコート」や「ピー・コート」・「チノパンツ」・服そのものではないですが、袖付けの一種である「ラグラン・スリーブ」などもそうです。

 

このように、挙げだしたら切りがありません。

 

「戦争がなければ、服飾の歴史は大幅に遅れていた」と言われますが、ある意味では誠にその通りだと思います。

 

戦争という、まさに「生きるか死ぬかの極限状態」の中で生み出されたアイデアは、全く無駄のない「機能美」となり、

同じく国家の威信をかけて開発した生地や縫製技術は、戦場でも破れない、また水がほとんど侵入しないなどの「性能美」を備えました。

 

考えても見てください。

国家が原価に関係なく、「とにかく目的にあった最高のモノをつくれ」と命じて出来上がったものばかりです。

当時の最も優秀な開発者と職人が、出来る限りのすべてのことを施したでしょう。

 

バーバーリーのトレンチコートがいい例ですよね。

現在多くの人が、憧れのコートとして挙げる筆頭ですね。

 

第1次大戦当時、バーバーリーとアクアスキュータムは、英国政府の要請で、過酷な塹壕戦の際、とにかく雨水の侵入を最小限に防ぐ最高の素材を、必死になって開発しました。

それが今日、バーバーリーのトレンチコートに使われている「バーバーリー・クロス」の原型です。

 

今僕たちは、「たまたま」平和な時代に生まれ、こういった前時代の恩恵を多いに受けて生活しています。

 

しかし…

こういった事を認識している人が、一体どれくらいいるでしょう?

 

そういった事をお客様に伝えている洋服屋が、一体どのくらいあるでしょう?

 

そういうことを少し知っておいても損はない。と僕は思います。

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