太平洋のBrooks Brothers
〜レイン・スプーナー物語〜
こんにちは。
前回まで実に4回に渡って、「ハワイアン・シャツ」についての歴史や、発展の軌跡を辿ってきました。
今回は、僕が愛用している「ハワイアン・シャツメーカー」を紹介しながら、〝一生モノのハワイアン・ウェア〟を紹介したいと思っています。
どうぞ、最後までお付き合い下さいね。
【1】紳士洋服店「レインズ」とスイムウェア・スタンド「スプーナー」
現在ハワイで最もポピュラーな「ハワイアン・シャツ」と言えば。
と問われた時、
「Reyn Spooner」は必ず挙がってくる名前でしょう。
その誕生は1962年。
そこには、ルース・スプーナーとレイン・マッカラーという、2人の男の物語がありました。
①レイン・マッカラーと紳士洋服店「レインズ」
1950年代初期に、カリフォルニア・カタリナ島で紳士洋服店「レインズ」を経営し、成功を収めていたレイン・マッカラーは、
当時、飛行機による「アメリカ西海岸 ⇄ ワイキキ」の航路が確立し、短時間で気軽に行き来できるようになったことで、ハワイ経済が急成長すると、いち早く予感します。
【レイン・マッカラー氏(Webより画像を転載)】
【カリフォルニア・カタリナ島の「レインズ」】
そして1959年、ワイキキに大型ショッピングモール、「アラモアナ・センター」がオープンすると聞くや否や、レインは荷物をまとめ一家でハワイに移り住み、
自身の店「レインズ」を、新たにアラモアナ・センターでオープンさせます。
【ワイキキ・アラモアナ・センターの「レインズ」】
「レインズ」アラモアナ・センター店は、その品質の高さから「太平洋のBrooks Brothers」と評され、顧客の信頼を勝ち取っていきました。
その後レイン・マッカラーは、次々とハワイに新規店舗をオープンさせ、ことごとく成功させていきます。
②ルース・スプーナーとスイムウェア・スタンド「スプーナー」
一方ルース・スプーナーは、1956年に「スプーナー」を創設し、ワイキキ・ビーチの店で、たった1台のミシンでスイム・ウェアの制作に日夜励んでいました。
そしてカスタムメイドのサーフ・トランクス「カイン」を開発し、絶大な人気を得ていました。
その人気に目をつけた、レイン・マッカラーが、自身がデザインした水着やシャツの縫製を依頼するようになります。
【2】「Reyn Spooner」の誕生
こうして共同ビジネスをスタートさせた両者は、ルース・スプーナーがレイン・マッカラーにビジネスを売却する形で経営統合します。
レインはアラモアナ・センターの「レインズ」の地下に、4台のミシンを設置した新たな縫製室を設け、ルースを迎えます。
さらに、社名も2人の名前を冠にしたものに変更します。
ここに、現在最もポピュラーなハワイアン・シャツメーカーである、
「Reyn Spooner(レイン・スプーナー)」が誕生したのです。
1962年のことでした。
【3】「Reyn Spooner」とハワイアン・シャツ
「Reyn Spooner」がハワイで最も有名な「ハワイアン・シャツメーカー」としての地位を得ている大きな理由は、
「ビジネスシーンでも着られるハワイアン・シャツ」を作ったという事に尽きるでしょう。
ホノルルでは1947年の段階ですでに、暑さの厳しい6/1〜10/31までの間のみ、仕事場でのスポーツシャツの着用が認められていましたが、
それに加えて1966年、レインがメンバーだった「ハワイ・ファッション協会」は、仕事でのハワイアン・シャツやハワイアン・ドレスの着用許可を企業に取り付けました。
これが現在の、「アロハ・フライデー」の始まりです。
しかし、当時はレーヨン製の派手なハワイアン・シャツが全盛期を迎えつつある時代で、
レインは派手な生地を使うことに満足しておらず、何かいい生地はないかと思案していました。
そんな中彼の目にとまったのが、サーファーが着ていたシャツの生地の〝風合い〟でした。
ハワイの強い日差しを浴び続けたプリントは色褪せ、柔軟さを増した生地は、彼の心を惹きつけます。
こうして完成したのが、〝リバース・プリント〟です。
コットン60%・ポリエステル40%の配合で作られたこのオリジナル生地は、現在「スプーナー・クロス」と呼ばれ、「Reyn Spooner」の代名詞となっています。
特に〝ラハイナ・セイラー〟は、歴史的名作として、圧倒的な人気を誇ります。
【「Reyn Spooner」のラハイナ・セイラー】
ハワイの州旗・州花のハイビスカス・州鳥のネネ・州木のククイがプリントされ、生地を加工で色褪せたような仕上げにした面を、あえて表側に採用しました。
そしてこの生地で、ボタンダウンのアイビーシャツの形を採用したアロハシャツを作り、発表すると、
この落ち着いた雰囲気がビジネスシーンでも受け入れられ、爆発的な人気を集めます。
1970年代には日本にも紹介され、一大ムーブメントを巻き起こしました。
【4】「太平洋のBrooks Brothers」× 「Brooks Brothers」
最後に、僕が愛用している「Reyn Spooner」を紹介します。
【Reyn Spooner × Brooks Brothers】
【(上)スポーツシャツ (下)カジュアル・パンツとハット】
〝太平洋のBrooks Brothers〟と呼ばれた「Reyn Spooner」と、
〝本家〟「Brooks Brothers」の歴史的コラボレーションが実現した2015年のモノです。
僕の〝一生モノ〟のハワイアン・ウェアです。
【参考文献】
コメント
全部もってるじゃないすか。
買い占めました(笑)
スイムショーツだけないです