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〝一生モノ〟を考える 【1】〜洋服業界への警鐘〜

〝一生モノ〟を考える【1】

〜不誠実な商売を続ける洋服業界への警鐘〜

 

こんにちは。

このブログは、〝洋服屋の一生モノブログ〟というタイトルからも分かる通り、キーワードは〝一生モノ〟です。

 

「〝一生モノ〟というフィルターを通してモノを見る」ことで、世の中に氾濫したモノを一度篩(ふるい)にかけ、本当に良いモノだけを抽出していこう。

というのが大きなテーマです。

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【1】〝不誠実な商売〟を続ける洋服業界

完全に飽和状態に達し、同質化に陥ってしまった洋服業界。

 

どこに行っても、同じ色の同じ様なモノを着せられたマネキン達が、悲しそうに立ち並ぶ光景は、もはや春と秋の日本の風物詩となりました。

 

さらには、リーマンショック以降「外資系ファストファッション」の日本進出による価格競争の波に、多くの企業がいとも簡単に飲み込まれ、

 

「粗悪なモノでも良いから、外見だけ体良く整えて安く大量にあげ、売りつける」といった〝不誠実な商売〟に手を染めていきました。

 

こうなると商品開発の現場では、

 

①極端に安く設定された上代ありきで話が始まり、

②なるべく原価率を抑えて、

③〝その範囲内で〟使える素材と縫製技術を確保する

 

という話し合いに終始することになります。

 

これは明らかに順序がおかしいですよね。

 

①その時代に合った、上質な素材や質の高い縫製技術の〝恒久的な確保〟

②それを踏まえての原価予測

③最終上代と原価率の設定

 

これが本来の順序のはずです。

 

原料の高騰などで、やむを得ず上代が上がってしまう場合は、正直にお客様に申告すれば良いだけの話です。

 

それでも引き続きご愛顧頂ける方々が、本当のお客様です。

その程度のことで離れて行く人達は、放っておけばいいのです。

 

しかし、多くの優良企業はそれが出来ない。

 

なぜか。

 

自分たちが行なってきたモノ作りに対して、当の本人たちが、自信を持っていないからです。

 

そもそも、洋服の本質を知らない人達ばかりだから、何が良いモノなのかの判断がつかず、あたふたしているのです。

 

とはいえ優秀な人達ばかりですから、経営的視点からブランド運営を〝しているつもり〟なのかもしれませんが、

 

だとするならば、

「ブランディング」の視点がすっぽり抜け落ちています。

 

確かに「セールスの視点」から見た、〝短期的売上と短期的利益の確保〟への涙ぐましい努力のあとは確認できますが、

 

その裏側で、「ブランド・アイデンティティ」は消滅し、「ブランド価値」はみるみるうちに地に落ち、

 

気がついた時には、

当初想定していたターゲット層のお客様は、誰もいなくなっているはずです。

【2】「ブランド」とは「約束」

 

「ブランド」とは、「約束」です。

 

その「約束」を守り続けることこそが、ブランドが背負う使命です。

 

仮に、

「私たちはいつの時代においても、上質なものを常にお客様にお届け致します。」

という理念のもとで立ち上げたブランドであるなら、

 

それはどんなことがあっても守らなければならない、

 

お客様との「約束」です。

 

 

それが出来ないのであれば、潔く辞めれば良いのです。

 

そんなブランドで作られたモノ(洋服)は、

それ自体に〝アイデンティティ〟がないので、簡単に代用が可能です。

 

ですから、無くなっても誰も困らないのです。

 

つまりは、

 

そもそも「社会に必要とされていない」ということです。

 

こういったことを依然として続けているブランドは、

それ自体が見苦しいばかりではなく、

もはやただの環境破壊です。

 

洋服の原料の多くは、「綿」や「麻」・「羊毛」や「絹(シルク)」といった、植物や動物なのですから。

 

 

しかしそんな〝不誠実なやり方〟も、徐々に通用しなくなってきました。

 

その様な企業には、まもなく大きなしっぺ返しが待っています。

 

自業自得でしょう。

 

自分も今なお、洋服業界に身を置く者として、自省の念も込めて

コメント

  1. 門ちゃん。 より:

    ブランドもそうなんですが消費者はむしろ歓迎してるところも多く見え違和感があります。値段が下がり安易にスタイルとして買い物できるようになりユニフォーム的な着こなしが多い気がします。量産型の男子女子になることで着る喜びを見出しているのでしょうか。

    • タニヤンタニヤン より:

      おっしゃる通りだと思います。消費者は、歓迎していますね。

      毎年2回、ユニフォームとしてのスタイルを半強制的に押し付けられ、

      違和感は感じつつも、みんな(世間)に馴染めるからどこかで安心している。

      それが常態化して、今の結果になっているのでしょうね。

      でも、ファションやスタイルというのは、そもそもがユニフォーム的な要素の強いものだと思います。

      例えば、ビジネスマンのダーク・スーツにホワイト・シャツのように。

      しかし、その中で差をつける(ユニフォームに見せない)ことが重要であり、

      そこで求められるのは、

      シャツのボタンホールの糸が濃い色になっていて目立つだとか、

      襟に細工がされているだとかいう無意味なモノではなく、

      皆(世間)と同じホワイト・シャツでも、

      上質なコットンのシャツにする、蝶貝ボタンのシャツにする、

      要所を本縫いで仕上げてあるものにする。

      といった部分のセンスの良さです。

      そういった事を伝える努力を、売る側は意識的にしていかないといけませんね。

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