〝王の畝(うね)〟 〜コーデュロイという素材〜

王様の畝(うね)

 

〝王様の畝(うね)〟

〜コーデュロイという素材〜

 

こんにちは。

このブログは、

〝洋服屋の一生モノブログ〟というタイトルからも分かる通り、

キーワードは、〝一生モノ〟です。

 

「〝一生モノ〟というフィルターを通してモノを見る」

 

ことで、世の中に氾濫したモノを一度篩(ふるい)にかけ、

本当に良いモノだけを抽出していこう。

というのが大きなテーマです。

 

さて、〝自分流スタイル〟を紹介した前回の記事の中で、コーデュロイパンツについて触れましたね。

〝自分流のスタイル〟〜ウディ・アレンから学ぶこと〜
...

 

コーデュロイという素材は、言うまでもなく世界中で使用されている有名な素材だし、皆さんのワードローブの中にも1着はあるのではないでしょうか。

僕も、毎年ツイードジャケットやダッフル・コートが登場する時期には必ずお世話になる、定番素材のひとつです。

 

しかし、この素材…

  • なぜ「コーデュロイ」と呼ばれているのか。
  • 歴史上、どのような使われ方をされてきたのか。

といった詳細については、あまり語られることがありません。

 

という事で、

今回はこの「コーデュロイ」という素材を、少し掘り下げてみたいと思っています。

どうぞ最後までお付き合いください。

1.〝王の畝(うね)〟

「コーデュロイ(corduroy)」とはそもそも、フランス語の「Corde du Roi」が縮小した英語です。

「Corde」は「畝」、「Roi」は「ルイ王朝」「du」は英語のofと同じで「〜の」を意味します。

意訳すると、〝王の畝〟

 

つまり、

corduroyの歴史は、フランスのルイ王朝時代まで遡ることができるのです。

 

一説によると、

18世紀初頭のフランスで、当時「太陽王」として確固たる地位を築いていたルイ14世が、自分に献上されたこの生地を気に入り、宮廷お抱えの庭師に作業着として着用させたことからこの名が付いたとされています。

 

その後、

フランス革命によりルイ王朝が滅びると、19世紀以降はイギリスに伝わり、主に上流階級の人々が、狩猟や野外パーティを開催する時のカジュアル・ウエアとして愛用されたと言います。

 

今でこそカジュアルな雰囲気や、野暮ったい雰囲気を持たれているこの素材ですが、

意外や意外…その正体は、

 

「フランス宮廷お抱えの庭師の制服」から始まり、イギリスの「カントリー・ジェントルマン」達にこよなく愛されてきた、いわば〝素材界のエリート〟だったわけです。

 

そしてさらに、

1950年代のアメリカでは、ハーバード大学やイエール大学などのアイビーリーガー達に愛用されます。

彼らもまた、アメリカの将来を担うことになる、エリート達でした。

 

しかし、1960年代に日本に入ってきた時には、「アイビー・ルック」「アメリカン・カジュアルスタイル」の定番として紹介された為、コーデュロイは現在の様な軽い扱いをされることになってしまいました。

 

日本人が、コーデュロイのスーツをエレガントに着こなせない理由のひとつは、この頃の「アメカジ」の強烈なイメージにあるように思います。

2.コーデュロイとは

では、次にコーデュロイの織り組織を詳しく見ていきましょう。

 

『男の服飾辞典』(婦人画報社)によると、コーデュロイとは、

→ 縦畝織りの綿ビロード。日本では「コール天」とも呼ばれている。

とあります。

 

しかし、コーデュロイは厳密に言うと「ビロード」とは微妙にその製法が異なります。

 

少し専門的な話になって恐縮ですが、

ビロードとは、日本では「天鵞絨(てんがじゅう)」とも呼ばれる、添毛(そえげ)織物(パイル地)の一種で、

 

織りあがった生地の緯糸(よこいと)に別の経糸(たていと)を組込み、その経糸を使って表面に輪奈(パイル)を出しながら織り進めていくので、毛足の長いふんわりとした仕上がりになるのが特徴です。

 

さらにその表面の輪奈を、まるで「羽毛」のような状態になるまで丁寧に丁寧にカットして仕上げられたものが「ビロード」で、別名「ベルベット」とも呼ばれるものです。

ビロード(ベルベット)

ビロード(ベルベット)

 

このように、縦糸(経糸)を使って毛足の長いパイルを作り、表面を剪毛する製法を「経(たて)パイル製法」と言います。

※一般的に、ビロードやベルベットにはシルクやレーヨンといった長繊維(フィラメント糸)が使われることが多い。

 

一方「コーデュロイ」は、

 

織り上がった生地の経糸(たていと)に別の緯糸(よこいと)を組込み、その緯糸を使って表面上に輪奈(パイル)を作ります。

 

そして、まるで畳表のように浮いた部分を「上下方向に水平に」カットする事で、縦方向に毛羽のある畝を表した生地のことです。

 

この時できた畝の幅が広いものを「ワイド・ウェール・コーデュロイ」と呼び、よりカジュアルな印象になります。

一方、畝の幅が狭いものを「ピン・ウェール・コーデュロイ」と呼び、よりドレッシーな印象になります。

コーデュロイ

コーデュロイ緯(よこ)パイル製法

 

このように緯糸を使って毛足の短いパイルを作り、表面を剪毛する製法を、「緯(よこ)パイル製法」と言います。

 

素材は主に、綿やポリエステルなどの短繊維(ステープル)が使われます。

 

「ベッチン(別珍)」は、この製法で作られたものを言います。

※「ベッチン(別珍)」は、「velveteen(ヴェルヴェティーン)」が訛ったものです。

 

整理すると、

「縦パイル製法」のビロードとベルベットが仲間(ほぼ同義)で、

「緯パイル製法」のベッチンとコーデュロイが仲間です。

 

※ちなみにもうひとつ、「ベロア」という素材がありますが、

ベロアは本来、編みもの(ニット)で作られた、ビロード(ベルベット)の様な風合いを持つ生地のことを言うのですが、

現在ではベッチンも含めて、何でもかんでも「ベロア素材」と呼ばれています。

 

 

日本でコーデュロイが「コール天」と呼ばれる由来には2つの説があり、

ひとつは、「corduroy」と「天鵞絨(てんがじゅう)」を組み合わせたという説で、もうひとつは「Corded velveteen(コーデッド・ヴェルヴェティーン)」の略である。と言うものです。

 

まあ正直言って、どっちでもいいですね(笑)

3.僕が愛用しているコーデュロイパンツ

最後に、僕が愛用しているコーデュロイパンツを紹介します。

 

【Brooks Brothersのコーデュロイパンツ】

Brooks Brothersのコーデュロイパンツ

Brooks Brothersのコーデュロイパンツ
【参考文献】

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