戦争とファッション 〜第1次世界大戦とトレンチコート【4】〜

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戦争とファッション

〜第1次世界大戦とトレンチコート〜

【4】

 

こんにちは。

このブログは、

〝洋服屋の一生モノブログ〟というタイトルからも分かる通り、

キーワードは、〝一生モノ〟です。

 

「〝一生モノ〟というフィルターを通してモノを見る」

 

ことで、世の中に氾濫したモノを一度篩(ふるい)にかけ、

本当に良いモノだけを抽出していこう。

というのが大きなテーマです。

 

さて、これまで3回に分けて、第1次世界大戦とトレンチコートの関係性を追いかけてきました。

 

トレンチコートがどのような歴史的背景の中から生まれ、発展していったのか。

ある程度ご理解いただけたのではないでしょうか。

 

今回の「第1次世界大戦とトレンチコート【4】」では、

 

最初はトレンチコートを「レイン・コートの中のひとつ」として考え、

少し視野を広げて眺めてみようと思っています。

 

そして、最後はもう一度トレンチコートのディテールの話へ戻っていきます。

 

内容としては、

1.レインコートの原点 「マッキントッシュ・クロス」

2.トレンチコートの裏地が「チェック柄」である理由

3.僕が愛用しているトレンチコート

といった構成で進めていきます。

 

どうぞ最後までお付き合いください。

【1】レインコートの原点「マッキントッシュ・クロス」

レインコートの歴史はトレンチコートより古く、1823年のある「世界的発明」によって動き出したと言えます。

 

「マッキントッシュ・クロス」

 

そう、皆さんもよくご存知の「MACKINTOSH」のコートに使用されている、あのゴム引き防水地です。

それは、生地に特殊なゴムを張り合わせることで完璧な防水性を実現させた、当時としては奇跡的なものでした。

 

この生地を発明した人物こそ、スコットランド・グラスゴー出身のチャールズ・マッキントッシュその人です。

 

【チャールズ・マッキントッシュ】

 

そしてこれが世界初の防水生地であり、今なおこのゴム引き防水地は「マッキントッシュ(クロス)」と固有名詞で呼ばれているのです。

 

しかし、

誤解されがちなのですが、チャールズ・マッキントッシュはあくまで、このゴム引き防水地を発明した人物なのであって、レンコートを作った人物ではないのです。

 

この「マッキントッシュ・クロス」にいち早く目をつけ、レインコートを作ろうと思いついたのが、

イギリス・マンチェスター出身の、トーマス・ハンコックという人物でした。

 

これが既製の、完全なるレインコートとしては最初期のものであるとされています。

 

ここに、

その後19世紀後半〜20世紀初頭にかけて次々と登場する、バブアーのオイルドクロスのコートや、バーバリー・アクアスキュータムのトレンチコートといった名品の全てに繋がる「原型」が出来上がったと言えます。

【2】トレンチコートの裏地が「チェック柄」である理由

トレンチコートの謎としては、細かいディテールの様々な話があり、洋服好きの間で話題は尽きないのですが、(両肩のエポーレットやベルトに付属されているDリングはその代表格です。)

その中で、見落とされがちで語られることが少ないディテールが「バック・チェックの謎」。

つまり、

「トレンチコートの裏地はなぜチェック柄なのか」という事です。

 

確かに、

現在バーバリーやアクアスキュータムのトレンチコートの裏地には、ほぼ例外なくチェック柄が使われていますし、バブアー のオイルドコートの裏地もそのほとんどがチェック柄です。

 

これには、先程出てきたT・ハンコックの〝ある想い〟が関係しています。

 

T・ハンコックは、「マッキントッシュ・クロス」を使って世界最初期のレインコートを生み出した時、タータン・チェックの裏地を貼りました。

 

なぜ彼はそんなことをしたのか。

 

先程も触れましたが、C・マッキントッシュはスコットランドのグラスゴー出身です。

スコットランドのケルト文化を象徴する「タータン・チェック」を裏地に使うことで、彼は世界的な発明をしたC・マッキントッシュに最大の敬意を払ったのです。

 

そして、

その後追随したバーバリーやアクアスキュータム、バブアーも皆、故C・マッキントッシュへの敬意を忘れなかったからこそ、裏地にタータン・チェックを配したと言われています。

 

▪「バーバリー」のトレンチやバルマカーン・コート

▪「アクアスキュータム」のトレンチやバルマカーン・コート

▪「バブアー 」のオイルド・コートやハンティングジャケット

これら英国で誕生した名作レインコートの裏地には、こんな素敵な物語が隠されていたのです。

 

皆さんも、レインコートの裏地にチェック柄を見つけた時は、

激動の時代を生きた先人達が残してくれた、美しい物語に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

【3】僕が愛用しているトレンチコート

最後に、僕が愛用しているトレンチコートを紹介しておきます。

 

1990年代頃のヴィンテージBrooks brothers です。

 

【Brooks brothers のヴィンテージ トレンチコート】


【参考文献】

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コメント

  1. 門ちゃん より:

    ハンコックというイギリスのブランドは関係あるんでしょうか。

    • タニヤン より:

      「HANCOCK」は、2012年頃に元マッキントッシュの人が作ったアウター・ブランドですね。

      トータル・ブランド化してしまったマッキントッシュに対して、「もう一度、ゴム引きコートにこだわりたい」との思いから独立したようです。

      ブランド名はまさに、その思いと、最初にゴム引きコートを作ったトーマス・ハンコックに因んで付けられています。