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ポロ競技の靴 〜チャッカ・ブーツ(Brooks Brothers × ALDEN) 〜

 

ポロ競技の靴

〜チャッカ・ブーツ〜

 

 

こんにちは。

 

このブログは、〝洋服屋の一生モノブログ〟というタイトルからも分かる通り、キーワードは、〝一生モノ〟です。

 

「〝一生モノ〟というフィルターを通してモノを見る」ことで、世の中に氾濫したモノを一度篩(ふるい)にかけ、本当に良いモノだけを抽出していこう。

というのが大きなテーマです

 

今回は、久しぶりに〝一生モノの靴〟です。

これで、11足目の紹介になりますね。

そんな〝一生モノの靴〟第11弾目として取り上げるのが、

 

「チャッカ・ブーツ」です。

 

この靴のネーミングの由来であるとか、

この「チャッカ・ブーツ」から派生した靴のことなど、

意外と知られていないことが多いんですよね。

 

興味がある人はぜひ、最後までお付き合いください。

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【1】Brooks Brothers のチャッカ・ブーツ(ALDEN社製)

では、早速ご紹介します。

Brooks Brothers のALDEN社製、スウェード チャッカ・ブーツです。

【Brooks Brothers スウェード チャッカ・ブーツ】

【ALDEN社製   MADE IN U.S.A.】

 

「チャッカ・ブーツ」の特徴は以下の3つです。

 

①くるぶし辺りまでをカバーする、「アンクル・ブーツ」

②2対、ないし3対の鳩目

③爪先は、基本的にプレーントウ

 

この「チャッカ・ブーツ」は、

ポロ競技用の靴として、19世紀の後半頃に誕生したと言われています

 

【2】ポロ競技の靴

チャッカ・ブーツの「チャッカ(Chukka)」とは、ポロ競技の1ラウンドのこと。

 

約7分間を1チャッカ(Chukka)として、

それを6回行うというのがポロ競技の競技時間です。

 

1チーム4人構成で、その際選手は馬に乗り、

マレットと呼ばれるスティックで球を打ちます。

 

その球を相手ゴールに運べば、得点が入ります

 

【ポロ競技】

※Webから画像を転載

 

 

ポロ競技の起源は、紀元前4世紀ごろのペルシャまで遡るらしく、

のちに騎馬隊の軍事訓練として、中国や日本に伝来します。

特に中国では、唐の時代以降、長く皇室で楽しまれていたそうです。

 

【中国・清時代の絵画】Wikipediaより

 

1860年頃には、英国領インドに普及しており、

当時ここに駐屯していた、イギリス人将校たちの間で人気を博し、

その10年後に、イギリス本国にも紹介されています。

 

こうしてイギリス本国にもポロ競技人口が増え、

人気に火がついた1890年代に、「ポロ競技用の靴」として誕生したのが、

「チャッカ・ブーツ」であったことは、歴史上ほぼ間違いないでしょう

 

【2】チャッカ・ブーツから派生した靴

そして後年、これが軍事転用されていきます。

 

最初の契機は、南アフリカを舞台にした、

「ボーア戦争」(1899年)でした。

 

本土ならびに英国領インドから、多数の英軍が応援に駆けつけました。

 

この折に、

砂漠行軍用として履かれたのが、

 

このチャッカ・ブーツ型の中深靴です。

 

当時の素材は、丈夫なコードバン(馬革)、

鳩目は3対のものが大半を占めていたようです。

 

そして、続いての第一次世界大戦時(1910年代)には、

 

鳩目が3対から2対に、

素材もコードバンから牛革の肉厚ベロアへと、

変更されていきました。

 

そして靴底の素材も、砂漠の砂の熱に耐えられるようにと、

クレープ・ラバーに改良されました。

 

ついでにこの時期に、

甲革に採用された肉厚ベロア(牛革)の色も、

砂漠と同じ色(サンド・ベージュ)に統一されています。

 

そして、この開発を一手に担ったのが、

 

当時、英国陸軍御用達の靴メーカーであった、

「C&Jクラーク社」でした。

 

こうして、チャッカ・ブーツを基に改良が加えられた軍靴は、

 

チャッカ・ブーツとは明確に区別され、新たに、

 

「デザート・ブーツ」(砂漠行軍ブーツ)

 

という名前が授けられました。

 

これが戦後、カジュアル・シューズとして一般化することで、

 

現在ではお馴染みの、

「Clarks」の定番、デザート・ブーツへと繋がっていくのです。

 

 

「チャッカ・ブーツ」や「デザート・ブーツ」を愛用していると、

 

「とにかく着脱がしやすい」

 

というありがたさを、誰もが感じると思います。

 

それでいて、足首はくるぶし部分でしっかりとホールドしてくれる、

 

絶妙な高さのブーツなのです。

 

しかし、それもその歴史を辿れば当然で、

 

誕生時は、

馬上で激しくぶつかり合うポロ競技用にと、

専門的な目線で考え抜かれ、

 

その後は、

陸軍行軍用にと、国家戦略として改良が加えられた、

とてつもなく完成度の高い靴

 

であることがわかります。

 

「チャッカ・ブーツ」

 

それは、1世紀以上もの間、形を変えずに人々に愛され、

今後も、これ以上形を変える必要がない、

 

歴史上、とても貴重な靴なのです。

 

まさに、〝一生モノのカジュアル・シューズ〟とするには最適ですよ

 
【参考文献】

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