Brooks Brothers オールデン 〜語り継がれる伝説の至宝〜 【ローファー編】
こんにちは。洋服屋の一生モノブログ運営者のタニヤンです。
先週から1週間かけて、僕が持っている全ての革靴を1足ずつメンテナンスしていて、ふと思いました…
「Brooks Brothers オールデンってやっぱり別格だよな〜」と。
あっ、ちなみにこの子達なんですけどね。
僕にとっては長い付き合いだし、仕事の日は毎日この中のどれかを履いているので、もはや身体の一部になりつつあるのですが、
改めて俯瞰で見ると、この先も語り継がれるであろう〝伝説の至宝〟であることが随所に垣間見られて、何度見ても感動してしまうのです。
という事で、
ここからBrooks Brothers オールデンの魅力に徹底的に迫ってみたいと思います。
第1回目は【ローファー編】です!!
興味がる方は是非、最後までお付き合いくださいね。
【1】Brooks Brothersとオールデン
オールデンは1884年にアメリカマサチューセッツ州ミドルボウに誕生したシューメーカーです。
並外れて上質な素材を使い、丁寧にウェルトを施す伝統的なつくりがオールデンの靴づくりの真骨頂です。
その代表的な素材が、「コードバン」です。(※コードバンについてはこちら☞ コードバンとは?)
オールデンはアメリカ屈指のタンナーである「ホーウィン社」と二人三脚で、現在も世界中の人々を魅了し続ける上質なコードバンシューズを作り続けてきました。
とはいえ、1950年ごろまでのオールデンは、知る人ぞ知るいち地方のシューメーカーに過ぎませんでした。
その地方の小さなシューメーカーの知名度を飛躍的にアップさせた出来事が、Brooks Brothersとのパートナーシップ提携だったのです。
これは今考えると、歴史的なパートナーシップ提携だったといえるでしょう。
その舞台裏には、フロイド・ギルモアという伝説の営業マンの存在があったと言われています。
彼は、オールデン社が1940年代に満を持して世界に発表した「タッセルローファー」を引っさげ、Brooks Brothersに猛プッシュしたそうです。
一方のBrooks Brothers側も、それまでにないスタイリッシュな佇まいと斬新なスペックに心奪われ、すぐさま自社の紳士靴の一つとしてオールデン製を受け入れたと言われています。
ここから現在に至るまで、Brooks Brothersとオールデン社の蜜月関係が続いているのです。
【2】伝説化しつつあるBrooks Brothers オールデン
この夏「Brooks Brothersのコードバンペニーローファーが復活する!!」ということで、一部の靴好きの間で話題騒然となりました。
では、なぜ今「Brooks Brothers オールデン」が注目されるのか?
それは、Brooks Brothers オールデン自体がじわじわと「過去のレガシー」になろうとしているからです。
大袈裟な言い方をすると、いよいよ「絶滅寸前」という段階に入ったという事です。
実際、2010年頃を境に供給は激減し、2012年頃にはとうとう日本のBrooks Brothersの店頭から姿を消しました。現在も日本への供給はほんの一部にとどまり、その姿を確認することは本当に困難な状況です。
特にコードバン素材のものは、絶望的な段階に入っています。
その大きな原因として考えられるのは、世界的な農耕馬の減少でしょう。
コードバンはもともと農耕馬のお尻の部分からごく少量しかとれない希少な素材である上に、世界的に農耕用の馬が牛にとって代わられたことにより、激減しているのです。
昔は牛より馬の方が数が多かったので、馬革は現在ほど高額ではなかったといいます。
カシミヤにしろアルパカにしろ、素材の価値はその動物の希少性に依存していますので、ある意味仕方のないことだと思います。
現在、日本のオールデン正規代理店のラコタハウスにオールデンのコードバンシューズを買いに行っても在庫があることは稀で、予約注文になることがほとんどです。
期間は、最低でも半年〜1年とのこと。
このことからも、コードバン素材自体が絶滅寸前だということがひしひしと伝わってきます。
オールデン本体でこの状態ですから、Brooks Brothers オールデンのコードバンシューズは、その何倍も絶滅の可能性が高いと言えるでしょう。
【3】Brooks Brothers オールデンの凄み
Brooks Brothers オールデンの魅力は、そのオリジナリティにあります。
それは、以下の2つです。
①Brooks Brothersオリジナルの仕様
まず挙げられる魅力として、Brooks Brothersオリジナルの仕様でしょう。
その最たるものが、ペニーローファーに見られる「アンライニング(アンラインド)仕様」です。
その他にも、タッセルローファーのヒール部分に施される「フォクシングステッチ」もBrooks Brothers オールデン のためだけに施される特別仕様です。
この辺は後ほど、実物と一緒に詳しく解説しますね。
②Brooks Brothersオリジナルのラスト(木型)
そして、最大の魅力として語られるのが、Brooks Brothers オールデン に使用されているオリジナルのラスト(木型)です。
これについては、Brooks Brothersからも公式な情報が発表されていないので想像の域を出ないのですが、明らかにオールデン が使用しているラストとは違います。
例えば、オールデンのペニーローファーには、「バンラスト」が使われていますが、Brooks Brothers オールデンのそれは違いますし、オールデンのタッセルローファーは、「アバディーンラスト」が使われていますが、Brooks Brothers オールデンのそれは確実に違います。
これはオールデン のプレーントゥに使われている「バリーラスト」についても同じことです。
一説によると、過去にBrooks Brothersの紳士靴のラインナップの主軸として名を連ねていた「Brooks English」という英国製シューズカテゴリーがあるのですが、そこで使われていたラストの一部を引き継いでいる。とも言われています。
「Brooks English」
これまたBrooks Brothersのレガシーとして燦然と輝くシューズカテゴリーで、それを手がけていたファクトリーは、「チャーチ」「エドワードグリーン」「チーニー」という、なんとも贅沢なビックネームだった事が明らかになっています。
ということで、ここからは実際にBrooks Brothers オールデンを見ていきましょう☆★
【4】Brooks Brothers オールデン 〜ローファー編〜
今回はローファー編です。
紹介するのは以下の4足。
では、早速いきましょう!
①アンラインドコードバンペニーローファー
これが、Brooks Brothes オールデンの最高傑作でしょう!! これは芸術作品といっても良いくらいです。
その最大の理由は、「アンライニング(アンラインド)」仕様であること。
これは簡単に言えば、一枚革で作られているということです。
通常の仕様では、内側にもう一枚革を貼って、外側の革と縫い付ける事でライニングを施すのですが、Brooks Brothersのコードバンペニーローファーにはそのライニングがありません。
これによって、信じられないほどの柔らかい履き心地を生み出しているのです!!
これは、履いた事がある人にしかわからない極上の感覚です。
②コードバンタッセルローファー(左)コードバンフルストラップローファー(右)
続いては、こちらもBrooks Brothers オールデンを語る上で欠かせないコードバンタッセルローファーです。
タッセルローファーの生みの親は、オールデンです。
俳優のポール・ルーカス氏の依頼で、最終的にオールデンが1940年代に完成させました。
そして、1950年代にBrooks Brothersの紳士靴のひとつとしてラインナップされたことで、その名は瞬く間に世界中に知れ渡りました。
そんなBrooks Brothers オールデンのタッセルローファーの特徴が、かかと部分に丁寧に施された「フォクシングステッチ」です。
このステッチ…全く意味はないのですが、とても技術がいる縫い方で、特に硬くて頑丈なコードバンを手作業で掬って(すくって)盛り上げて縫っているため、誰でもできることではありません。
「無意味なところに、非常に高度な装飾が施されている」
そこに無限の余白を感じるのは僕だけでしょうか?
ちなみに、この仕様は写真右のコードバンフルストラップローファーのかかと部分にも施されています。
このフルストラップローファーは、タッセルローファーとと並んで、Brooks Brothes オールデンのローファーの中で「ドレスローファー」というポジションをとっています。
このタッセルローファーとフルストラップペニーローファーは、ドレッシーな印象を与えてくれる2足で、特にタッセルローファーは、スーツに合わせても非常に上品に決まります。
ということで、ここまでBrooks Brothers製 オールデン〜語り継がれる伝説の至宝〜と題して、「ローファー編」をお送りしました。
いかがでしたか?
希少性と魅力が伝わっていれば良いのですが。
もし聞きたいことなどあれば、気軽にコメントしてくださいね。
お待ちしています☆
次回は「レースアップシューズ編」と題して、その他のBrooks Brothers製 オールデンの魅力をたっぷりと紹介していこうと思っています!
お楽しみに!
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洋服屋の一生モノブログ運営者
タニヤン
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