「さあ、切符をしっかり持っておいで
…(中略)…
天の川の中でたったひとつの本当のその切符を、
決してお前はなくしてはいけない。」
(宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』〜初期形第3次稿)
みなさん、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』はご存知ですよね?
本当に良い文学作品ですよね〜。
僕はこの作品が大好きで、何度も読み返しています。
この作品には宮沢賢治が残した多くのメタメッセージがちりばめられているように思います。
だから、読むたびに違う思いや気づきがあり、読み終わると、いつも不思議な感覚になります。
物語の中でジョバンニとカムパネルラが旅をするのが天の川です。
僕は、夏になると天の川を見に沖縄八重山に行きます。
特に、波照間島から見る天の川は息を飲むほどに美しいんです。
僕が見た天の川を絵に描きました。
さすがに天の川はプロの写真家じゃないと取れませんからね(笑))
波照間島は、八重山列島の島々の中でも特にジェット気流の影響を受けにくく、星が綺麗に見えるそうですよ。
島の南西には星空観測タワーがあって、夜は星空観測ツアーが行われています。
ここで知っておいて欲しいのは、
〝天の川はそう簡単には見られない〟ということです。
とりあえず島に行けば、満点の星と天の川が見られると思っている人が本当に多いんです。
僕からしたら、冗談じゃない!馬鹿野郎!ですね。
そう言う感覚で波照間島に行って、うっかり星空観測ツアーに参加しようものなら、観測タワーの館長にこっぴどく怒られますよ(笑)
僕も初めての時、満月の夜に訪れて、
「んっ? 君達、今日は何しに来たの?」って言われましたから(笑)
条件が整ってこその天の川であり、満点の星空なんです。
その最低限の条件が、
新月の前後2日付近であること。
まず、月が出ていると星は見えません。
波照間島であっても、満月の日は都会と同じくらいしか見えません…。
それ以降僕は常に、月齢カレンダーを持ち歩いています(笑)
あとは晴れることですが、それは「神のみぞ知る」ですよね。
ちなみに、集落以外に人工の光がないこの島では、
〝月明かり〟と〝星明かり〟と〝漆黒〟を体感することができます。
〝月明かり〟
満月ともなると本が読めるほど明るい。
〝星明かり〟
満点の星空の下では隣にいるヒトの性別の判断くらいはできる明るさ。
〝漆黒〟
新月の日の夜、空は吸い込まれるような感覚すら覚える、まさに漆黒の空。
僕は上記の通り、満月の夜にも行ったので、それぞれ自然光の中での夜を体験しました。
その中でも、〝漆黒〟の夜が1番感動的でした。
夕日による空の祭典が終わり、1番星・2番星と星が見え始め、夏の大三角形が姿を表すと…
その〝漆黒〟の空にうっすらと天の川が流れ始めるのです…
都会に住んでいると、こんな世界が日本にも存在することを知ることはできません。
その場にじっとしていれば、おそらく一生無縁の世界でしょうね。
波照間島についてもう少し。
波照間島には、石垣島から高速船で約1時間半で到着します。
途中、外海に出るので、後半はムチャクチャ揺れます(汗)
船が苦手な人には過酷すぎる時間ですね。
僕は船の揺れが好きな方なので、いつも船外の席に座って潮風を浴びています。たまに本当に潮を浴びますが(笑)
さて、そんなこんなで着いてみると、餃子の皿をひっくり返したような形の、こじんまりした可愛い島です。
港もとても静か。僕みたいなひとり旅の人が多く、みんな自転車で島を回ります。
2年前行った時は、〝ツールドオキナワ〟に参加して、そのついでに各島を愛車(自転車)で一周して回っている。という人と民宿が一緒で話していてとても楽しかった思い出があります。
波照間島の海は〝ハテルマブルー〟と呼ばれ、特別な色をしています。
波照間島のメインビーチの〝ニシ浜〟の海の色を初めて見たときは、本当に驚きました!
ちなみにこの〝ニシ浜〟 方角的にはなんと島の〝北〟側にあるんです!
僕は初めて行った時、民宿から迷わず〝西〟に自転車を走らせ、脱水症状になりかけました。
途中、人より山羊に出くわすことがほとんどで、山羊に道を聞こうかと思ったくらい(笑)しかし、この山羊が可愛いんです。こんな感じで……
……「お前の言う可愛いは理解が出来ない…」よく言われます(笑)
沖縄では、東西南北を次のように表します。
東(アガリ、アール)
太陽が昇る方角。
西(イリ、イール)
太陽が沈む方角。
南(パイ、ハイ、フエ)
由来は定かではないが、季節風の呼び方がそののまま言葉になったとか。
北(ニシ)
これも季節風が由来という説と、古〝イニシエ〟が由来という説があるようです。
古代日本において、西方から民族が移り住んだから西をニシと呼び、沖縄では北方から民族が移り住んだため、北をニシと呼ぶようになったといいます。
この島に来ると、八重山列島の人々がどれだけ自然に重きを置き、自然とともに生きて来たかが考えなくてもダイレクトに伝わって来ます。
方角の話ひとつをとっても、よくわかりますよね。
島に何日間か滞在していると、「太陽」「月」「風」「星」の存在を自分のすぐ近くに感じることができ、そのうち時計を見なくなります。
ついには、時計を民宿において出て行くようになります。
自然のサイクルに自分がすう〜〜っと溶け込んでいく感覚です…
島では、民宿の人がその日釣って来た魚や海藻や野菜などを毎日頂きます。
そこでは当然のように〝地産地消〟なわけです。
こうなると普段都会の人たちが一生懸命やっているコトの多くって、実は意味ないことなんじゃあないの?と思えてきます…(もちろん僕も含めて。)
あるスーパーに行くと、「南アフリカ産」のグレープフルーツが…。
ん〜。
これはわざわざ南半球から持ってこないといけないモノなのか?(笑)
ある山に車で少し登ると、絶景の夜景スポットがあるという。
そこに行くと黒山の人だかりが。
みんな頂上から下の方を見て、
「キレ〜イ!」「スゴ〜イ!」と歓声を上げている。
ふと空に視線を向ける。
すると、そこには満天の星空が広がっていた。
そうか、今日は新月だったんだ…。
〜おしまい〜
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